きわめて種類が多く,日本産の項で記したマメガキ,ヤエヤマコクタンおよび前項,前々項の コクタン,ホンコクタン以外にも,とくに黒檀材 として重要なものが少なくない.それらの主要なも のをあげるが,中国地域とフィリピン産を主とする
ものは次項以下に記した.
Diospyros meianoxylon roxburghはインド,ス リランカ産で,インド名をTendu
AbnUs,Temruな どという.落葉高木で高さ15mまでとなる.
葉は卵 形,楕円形などで大きく長さ7.5~30cm,果実は球 形~卵形で長さ.5~3cm,黄色に熱する.心材は紫 味を帯びた漆黒色でときには褐色などの縞が入るも のがあるが,わが国ではふつう本黒檀の中に入れら れる.
材の顕微鏡写真から組織の要点をあげる.道 管は単独または放射方向に2~4個が接続し,分布数 は5~12/mn12,径は0.04~0.18mm,チロースと黒 色物質を含む.
基礎組織は真正木繊維で,壁厚 0.003~0,007 mmと厚い.
軸方向柔組機では短接線 柔組織が顕著で放射方向に1,ときに2細胞層,周囲 柔組機は0~1細胞層,ほかに単独で散在する柔細胞 もある.柔細胞の径は0,015~0.04mm,結晶および 黒色物質を含む.
放射組織はほとんどが1細胞幅で 部分的に2細胞幅となるものがあり
,2~30細胞高, 構成は異性で,上下両端1層は方形または直立細胞,
中間は平伏細胞からなる.結晶および黒色物質が多 い.
材の気乾比重に0.80~1.31の範囲の記載があ り,0.83のもので縦圧縮強さ417kg/cm2,曲げ強さ 779 kg/cm2,曲げヤング係数10.0×101・kg/cm2を 示す.
Green ebony,Diospyros
Chloroxylon Roxburgh はインド,ビルマ,
タイ産で,インド名をKosaiと いう.和名にアオコクタンを当てることがある.低 木~小高木で,枝に刺があり,葉は卵状楕円形で長 さ3~5cmである.心材は青緑色を帯びた漆黒色 で,きわめて重硬,わが国では
青黒檀として扱われるDiospyros meianoxylon roxburgh はインド,ネパー ル産で,インド名はTendu,Kendu,Temruなどとい う.
心材は黒色で,ときに褐色や紫褐色の縞が入る が,わが国ではふつう本黒檀の中に入れられる.材 の気乾比重0.85の記載がある.
アランDiospyros chloroxylon roxburgh はインド, スリランカ,ビルマ,タイ,インドシナ,支郡・海 南島,フィリピン,マレーシア,インドネシア,オ ーストラリア北部ときわめて分布が広い.
arangは マレー名であるが,この名はまた同居のものに広く
用いられる.インド名はBistendu,Vakkanaiなど, ビルマ名はTawbut,Chok,中国名は山柿,山豆柿と いう.
高さ12mまでになる高木で枝に刺があり,葉 は卵形~倒卵形で長さ5~8cm,果実は球形で径 1.5~2.5cm,紅色・褐色に熟する.
有毒で魚毒に用 いられる.
材は黒色で暗色の縞が入る.材の気乾比 重に0.70~0.80の記載があり,0.72のもので縦圧 縮強さ515 kg/cm2,曲げ強さ1,188kg/cm2,
曲げヤ ング係数17,4×104・kg/cm2を示す.材は黒檀の一 つである.
セイロンコクタン(Caramandel wood,Coromam del wood)はインド,スリランカ産で,インド名はKalumediriyaという.
心材は黒色に白~灰色の模様や縞が入る.斑入黒檀 の一つになる.
材の気乾比重に0.85~0.91の記載が ある.
インドガキ(ベンガルガキ:Malabar ebony) はインド,ビルマ,スリランカ,
タイ,インドシナ, マレー産で,インド名をGab,Kala,Titia,Tendu,Panichi,
マレー名をKomoi,Kumun,インドネシア名をKalaero,Maeto などという.
大きいものは高さ37mまでになる常 緑の高木~大高木で,葉は楕円形,長さ10~23cm, 果実は球形に近く径3.5~6cmで,黄色,桃色にな って食べられる.その渋は染料に用いられる.
また 種子から油をとって灯用に使う.材は灰色に暗色の縞が入り,気乾比重に0.64~0,72の記載がある.
Common Malayan
ebony,Diospyros lanceifolia roxburghはインド,ビルマ,マレー,スマトラ, ボルネオ,フィリピン産で,マレー名をsegunという. 高さ20mまでになる小高木~高木で,葉は楕円 形,皮針形など,長さ4~15cm,果実は球形~楕円 形で径2~2.5cmある.
Diospyros kurzii hiern はアンダマン,ニコバル,
ビルマ・マルタバン,タイ,マレー,フィリピン, モルッカ産で,英名にZebrawood,和名にフイリコ クタンが用いられることがある.
高さ30mまでに なる常緑高木で,葉は楕円形など,長さ6~14cm,果実は球形に近く,径が約1.3cmである.
繊毛を布く.材は黒色に淡色の斑または縞が入り,斑入黒檀
の一つである.
材の顕微鏡写真によって組織の要点 を記す.
道管は単独または放射方向に2~6個が接続 し分布数20~35/mm2,
径は0.03~0.12mmで中に 樹脂様物質を含む.材の基礎組織は真正木繊維で壁 厚は0.003~0.007 mm.軸方同柔組織では短接線柔 組織が顕著で放射方向に1,ときに2~3細胞層,放 射方向の間にはさまる繊維は6~15細胞層,周囲柔 組織は不完全で0~1細胞層,ほかに繊維組織中に散 在する単独の柔細砲も僅かにある.柔細胞の中には 結晶または黒色の物質を含むものが多い.放射組織 は1,ときに2細胞幅,2~25細胞高,直立または方 形細胞の層が多く平伏細胞の層が少ない異性であ る.細胞の中には結晶と黒色物質が多く含まれる.
材の気乾比重に0.91~1.28の記載がある.
Andaman marble wood(zebra wood)は アンダマン諸島産で,高さ12~20mの高木である. 心材は黒色に白色から灰色 の縞あるいは斑の模様が入り,斑入黒檀の一つとさ れる.材の気乾比重に1.03の記載がある.
Diospyros burmanica kurzはビルマ産で,ビルマ 名をte`をという.落葉高木で,葉は楕円形など,長さ 7.5~13cm,果実は球形で径は2.5~3cmである.
材は紅褐色の地に黒色の縞が入り,気乾比重に 0.79~1.42の範囲の記載がある.
Diospyros vera a. chevalierはタイ,インドシナ産で, タイ名をMaklua,カンボジア名をAngkot
khmau,ベトナム 名をmunという.心材は黒色で,材の気乾比重に 0.82の記載があり,本黒笹のうちに入れられる.本黒檀として扱われる.
Diospyros helferi c.b.clarkeはカンボジア産 で,Angkot khmuという.
材の気乾比重0.96,縦 圧縮強さ630kg/cm2,曲げ強さ1,312kg/cm2の記 載がある.
Diospyros pilosantheraはビルマ,タイ, インドシナ,マレー,スマトラ,ボルネオ,フィリ ピン,セレベスに分布し,インドネシア名をKayu hitam perampuan,gito,mloなど,フィリピン名 をBolong-etaという.
この種に和名シマコクタン, スジコクタンを当てている文献がある.
高さ27m までになる常緑高木で,葉は楕円形など,長さ6~30 cm,果実は卵形などで径2~3.5cmである.辺材は 厚く淡紅色,心材は不規則で少ないが黒色に淡紅色 の縞が入る.
材の気乾比重に0.77~0.98の記載があ り,0.91のもので縦圧縮強さ751kg/cm2,曲げ強さ 1,440 kg/cm2,曲げヤング係数18.5×104kg/cm2 を示す.縞黒檀の一つである.
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