3.材の性質
材の物理的・機機的性質の数値をあげる.気乾比重0.62(0.48〜0.74),含水率1%当りの平均収縮率は接線方向0.32(0.25〜0.42)%,
放射方向0.16(P.10〜0.23)%,熱伝導度(含水率10%,温度200C)
0.120kcal/m・h・。C,温度伝導度(含水率15%,温度600C)
4.6×10 ̄4・m2/h,誘電率(1MC)は全乾時2.2,気乾時4.9,
着火点240(230〜250)OC,発火点390(380〜400)OC,
縦圧縮強さ450(350〜550)kg/Cm2,縦引張強さ1,500(1,000〜2,000)kg/cm2,曲げ強さ1,050(850〜1,200)kg/cm2,曲げヤング係数
12.0(9.0〜14.0)×104・kg/cm2,せん断強さ150(100〜200)kg/cm2,
衝撃曲げ吸収エネルギー0.8(0.6〜1.0)kg・m/cm2,
ブリネル硬さは横断面4.0(3.5〜5.0)kg/m2,放射断面1.5(1.2〜1.8)kg/m2,接線断面1.8(1.5〜2.5)kg/mm2.材は中庸からやや重硬という程度であるが,その重さの割合には材は素直で狂いが少ない.また一般
に粘り気があって強い.切削その他の加工も困難なく,表面仕上げは良好で磨くと光沢が出る.
割烈性は小.乾燥はやや困難.材の保存性は高い方に入る.
4.材の利用
ヤマザクラ類の材はかつてはやや硬質の散孔材の代表で,器具材をはじめ広い用途に使われたが,現在では蓄積がきわめて少なくなってしまったため,その用途の大部分はカンバ類がとって代わり,したがって今ではカンバ材をサクラといって通しているのがふつうである.
サクラ材のこれまでの用途をあげると,器具材では盆・椀などの漆器木地,サラダポール,道具の柄,ブラシの背,額縁,定規(じょうぎ),裁板(たちいた),そろばんの玉,塩田器具など,機械部品では測量用三脚,時計枠,紡績用木管,機械箱など,家具材ではテーブル,椅子,銃台,仏壇,その他の棚物・台物,シタン・コクタンの模擬材,建築材では鴨居,敷居,フローリンア,皮付床柱、切り炉の梶(かまち)など楽器材では三味線の樟(さお),薩摩琵琶の胴と腹板,ピアノ・オルガンの外囲材,バイオリンの弓,琴柱(こ
とじ)などがあり,そのほか木型,靴型,玩具,版木,彫刻など,まことに広く多彩である.また薪炭材としてもクヌギ,カシに次いでよい.樹皮の利用では
秋田県角館などの特産の樺皮細工が有名で,これにはヤマザタラ類のほかチョウジザクラの樹皮も使われる. |