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秋の七草は万葉集に出てくる山上憶良が詠んだ歌から伝えられたという説があります。日本の秋の野山に美しく咲く花として今日まで伝えられているのです。「はぎ」、「すすき」、「くず」、「なでしこ」、「おみなえし」、「ふじばかま」、「ききょう」の七つの草花は昔から薬草として煎じて飲むとそれぞれに効用があるとされています。
トップページ > 季節の仏教行事 > 秋の七草
・正月のお飾り ・十五夜
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・秋の七草  
1.はき゜
万葉の時代、秋は「萩」と決まっていたようです。万葉集の中で萩の花を詠んだ歌は141種あるといわれています。古くから新芽は茶に、葉は家畜のえさに、枝は屋根材や炭俵・ほうきに、花は染料、干した根は薬用に利用されていました。冬には枝が枯れ春に芽を出します。漢方薬として根を咳止め、去痰、胃の痛み、下痢などに用います。

2.桔梗
山上憶良が朝貌(あさがお)」と詠んだ植物が何であるかは諸説がありますが、今日では桔梗であることが定説になっています。しかしアサガオは熱帯アジア原産で、渡来したのは平安時代だということですから、万葉の時代はないともいわれています。本来は秋の花ですが、園芸種では初夏から出回ります。文学のなかで詩や歌によく引用されます。根は昔から咳止め、去痰薬、のどの痛みの薬として有名です。毒性があり、多量に使用しますと胃腸のただれ、下痢、嘔吐を起こします。

3.ふじはかま
万葉集では山上憶良の詠んだ1種だけです。源氏物語の藤袴の巻には夕霧が玉鬘(たまかずら)に贈る花として登場します。川原などの自生地を奪われ絶滅危惧種に指定されています。枝先に淡紅紫色の小さな頭花が密集しています。葉を乾燥させると、クマリンのいい香り(桜餅の葉の香り)がするので、中国では唐の時代、香草として重用されていたそうです。全草を乾燥させたものを蘭草といって糖尿病に効くようです。お風呂に入れてかゆみをとります。

4.くず
山野のいたるところにはびこって他の植物を圧倒するほどの生命力です。マメ科のツル植物で地下の根は長く肥大化し、漢方の葛根湯にも使われます。昔からクズは生活に役立ち、根は葛粉として食用に、また葛根湯として風邪を引いたときには風邪薬によく用いられます。つるは編んで籠にします。

5.おばな
尾花とはススキの花穂が出ている時の呼び名です。ススキは私たちの暮らしになくてはならない植物でした。茎葉は屋根材や家畜のえさに、根茎は解熱・利尿に用いられていました。お月見にススキを供えるのは、豊かな穂が実りの秋を連想させるので、豊作を祈願したものといわれています。イネ科の多年草です。

6.なでしこ
繊細なピンクの花です。和名は小さくて可憐な花を愛児になぞらえたもので、かつて「大和撫子」といえば日本女性の代名詞でした。つつましく控えめな女性をイメージしたようです。万葉集では26種詠まれています。別名をカワラナデシコ(河原撫子)ともいうように本来は日当たりのよい河原や山野にありますが,最近では園芸品種も多いようです。漢方薬としてむくみや高血圧に煎じて飲みます。

7.おみなえし
秋風にゆらぐ優しい黄花。万葉集では14種詠まれています。茎や根に特異な腐敗臭があるので、茶花としては好まれなかったようです。漢方では利尿などに用いられました。茎の先に黄色い小さな花をたくさんつけます。秋の花材にはなくてはならないものです。
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